DSC_3624~2

以前、「Paul Reed Smith のギター・シールドを刺すと、PRSのサウンドになる」といった趣旨の投稿をネットで読んだ。

ケーブル(ギターの世界ではシールドと呼ぶ)の重要性は、オーディオでもギターでも同じである。

オーディオの世界では、電源ケーブルのブームが吹き荒れてからもう20年も経つ。エレキギターの世界では、ギターアンプの電源ケーブルの交換が現在盛り上がっている印象がある。

それではエレキギターはオーディオに遅れているかというと、そうでもないところが面白い。
エレキギターではシールドのワイヤレス化が勢いを増している(音痩せ等の問題はあるが、プレイをする上での自由度が飛躍的に高まった意義が支持されている)。
しかしワイヤレスよりも熱いのはシュミレーターである。新機種が発表される度に、各社のアンプシュミレーターが実機に迫るリアルさを増しているらしい(楽器店に滅多に行かないので、最新機種を自分の耳で確かめることができないのが悔しい)。

私も、中華製のプリアンプシュミレーター(MOOER)を持っている。ローランドの安いアンプで試しに音出しをすると、持っていた高価な真空管アンプとそっくりな音が出て魂消た。もちろん音圧など「真実の音」とは随分と異なるが、余りのクオリティの高さに「本物」の真空管アンプを売却してしまった。

この技術がオーディオに転用されれば、とんでもないことになるだろう。往年の、更には現役の著名な機器が多種かつ安価で楽しめるのだ。

以前よりデジタルヴォイシングイコライザーがアキュフェーズから出ているのだから、最良の音響環境を現在の技術でシミュレーションできないほうが不思議だ。

エレキギターの世界では、人気のあるエフェクターやアンプのコピーモデルやモデリングは久しく当たり前のことである。
オーディオの世界では、せいぜい名機の真空管アンプのレプリカが常識の範疇になる。自社の復刻版ですら実現可能が難しい。

長い時間をかけて人間の感性で築き上げたことが、デジタル技術によって容易く再現できるようになることは、幸いなのか不幸なのかは私には判らない。
オリジナル製品には莫大な資金と時間と工夫とが投入されている。商品になる創造には、プライスレスな価値がある(もちろんオリジナルをトレースする技術も容易いことではない)。

しかし一消費者としては、高度な「成果」の恩恵を安価で享受できることは僥倖以外の何物でもない。

数しれぬ先人たちが踏み固めた轍の上を、当たり前のように駆け抜けてゆくヒトはいったい何処に行こうとしているのだろうか。

話が随分ずれてしまった。話題はPRSのシールドについてである。

PRSのシールドは繋いで音を出した刹那、酷く気に入ってしまった。色気というか品位のある厚みのある中音域とでもいうか、確かにギターのサウンドが好ましく変貌した(残念ながら、私はPRSのギターを所有したことがないので、PRSのサウンドは判らない)。フレーズを弾いていて、この上なく気分が高まってくる。これはもうツマラナイ思考をする余地はない。

かくしてPRSのケーブルは、私のギターには必需品となった。
恐らくアンプのように売却することはないと思う。