私は紙ジャケット仕様のCDが嫌いだと先日ブログエリトリーしましたが、再発売時にボーナストラック仕様になったCDも嫌いです。
プラスされたトラックが、せっかくのアルバムの世界観を壊してしまうことが多いからです。
もちろん全てのアルバムがコンセプチュアルな世界観を持っているわけではありませんし、ボーナストラックに価値があることは承知しています。しかしせっかくのボーナスが、アルバムに通底している雰囲気を台無しにしてしまうのは残念でなりません。
例外もあります。日本盤だけ1曲ボーナストラックがある新譜の場合、私の所持するCDは全て「当たり」です。アルバムの世界観と多少違うと感じても、アンコールもしくは食後のデザートのような感覚で楽しめます。むしろこの曲なくして本国の方は残念ですねと思わずにはいられません。
話を戻します。
SANTANAの1stアルバムを中古でまた買いました。数年前に私が購入した「SANTNA」は、フィルモア・ウェストでの貴重なライブがボーナストラックで入ったバージョンです。ところが何度聴いても、一つの音楽的世界観が終わったあとに突然ライブパフォーマンスがくるのがどうしても落ち着かない。仕方がないので、ボーナストラックのない古い古いCDを慎重に探して今回買い改めた次第です。リモコンでポンとプレーヤーを止めれば済む話なのですが、そのひと手間が残念な気分にさせてしまうのです。
「SANTANA」は、その後のギタリスト・CARLOS SANTANAを期待すると、少しがっかりしてしまうアルバムでしょう。このアルバムはCARLOSのソロアルバムではなく、SANTANAというバンドのアルバムです。もちろんCARLOSのギターは泣き叫んでいますが、それがアルバムの全てではありません。
世界史や世界情勢、ワールドミュージックに不勉強なので間違っているかもしれませんが、このデビューアルバム「SANTANA」の世界観は「ラテン」ではなくてアフリカだと感じています。ジャケットのライオンもラテンアメリカの生き物ではありませんし…。2枚目の「Abraxas」の世界観とは随分と趣が異なります。
でもそんなことさえ、このアルバムを貫いている勢いの前には意味をなさないのかもしれません。ただただ熱い「バンド」のパフォーマンスに無我夢中にさせられてしまい、気がつくとアルバムは終わっています。音楽に心が奪われる至福かつ濃密な37分です。
CDを聴くとは一つの音楽的世界観を味わうことです。やっぱり余韻は必要です。CDは単なるデータの集合体だと私は思っていません。