昨晩は遅かったせいか、起床する時間になっても布団から出られませんでした。居間で犬が騒いでいても、いつものことだと思ったのでしょう。なにぶん記憶が定かではありません。
8時頃、朝早いアルバイトから帰って来た妻が、大きな声で私を呼びます。「起きて!ぶすけ君が死んでいる!」
慌てて二階の寝室から下の居間に駆け降りました。
ゲージから出されたペキニーズのぶすけ君が、目を開けたまま横たわっています。体に触れるととても暖かいのですが、四肢は固くなり始めていました。
アルバイトに妻が出かけるときは変わったところがなかったようなので、その後てんかんの発作を起こしたのでしょう。
ぶすけ君の本当の名前は「龍之介」といいます。
うちに来た当初は変わったところがなかったのですが、数年前から眼振が酷くなり、てんかんの発作を起こすようになりました。
てんかんを抑える薬を毎日飲み、発作が酷くなるとかかりつけの動物病院に連れていき、入院することもたびたびでした。
動物病院では愛想がとても良く、大好きな受付のお姉さんに構ってもらえるとご機嫌でした。
てんかんだからでしょうか。もう成犬なのにいつまでも仔犬のような行動をとっていました。
自他の糞を食べようと虎視眈々と機会を伺ったり、トイレ以外の所にオシッコをかけたりと困ったコトは改まりませんでした。
しかし、
妻が二階から降りて来るのを階段の下でちょこんと座って待っていたり、
ゲージから出すと真っ先に骨状のガムを咥えて誇らしげに部屋の中を闊歩したり、
オヤツの煮干しが大好きで二匹与えないとねだり続けたり、
ねだる声がまるで人間の声のようなので、もしかしたら人語を話すのではないかと思わせたり、
食い意地が張っているくせに、がっついて手まで噛みつくことはなかったり、
私が居間で寝転がっていると決まって対面に伏してお見合い状態になったり、
「ぶすけ君」と声をかけると表情は変えないのに静かに尻尾だけフリフリと振ったり、
…。
ぶすけ君は、クッションの上でタオルに包まれて目を開けたまま横たわっています。その横で腹ばいになりながら、このテキストを入力しています。
決して健康体といえないので、長生きはしないだろうと覚悟はしていました。しかし目を開けたまま動かなくなったぶすけ君を見ていると、どうしても嗚咽と涙とを止めることができません。
ぶすけ君は私よりも妻が好きでしたし、妻も可愛がっていました。妻が泣いています。私も泣いています。私は、私なりにぶすけ君を可愛がっていたつもりです。長い休養中は一日中家にいたので、以前よりも距離が縮まったように感じていました。
これから火葬場に行きます。家から近いところは臨時休業だったり先約でいっぱいだったりなので、遠いところまで行かなくてはなりません。
ぶすけ君、一緒に暮らしていた7年間は楽しかったよ。
できたら虹の橋の向こう側で待っていてほしいな。
きんたこさんのお宅にはぶすけくん、というわんちゃんがおられたのですね。私はゴールデンのわんちゃんしか知らず、ただただ驚いています。
何歳だったのでしょうか、突然の死に、言葉もありません。謹んでお悔やみ申し上げます。。